トロロッソが重要な「キー」を損失。
マクラーレンと場外バトルへ

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 現時点でもまだキーがトロロッソの契約下にあるということは、ガーデニング休暇を挟まねばならず、今すぐにマクラーレンで来季型マシンの開発に携わることはできないということだ。

 マクラーレンが情報をリークしてイギリスメディアに書かせ、それを追認するというかたちを採ったのは明らかだが、そうしたのは、このガーデニング休暇の期間を短くして1日でも早くキーの職務をスタートさせるためだったと見られている。実際にマクラーレンは、2014年に当時技術責任者を務めていたパディ・ロウのガーデニング休暇を免除してメルセデスAMGに引き渡す代わりに、ホンダとタッグを組むためにメルセデスAMGとのパワーユニット契約の早期解除を認めさせるという交換条件を成功させている。

 今回の場合も、自分たちで守秘義務違反を犯すことなく、メディアの報道というかたちで既成事実化し、キーとの契約をトロロッソへ通達して条件交渉を開始しようというわけだ。

 これに対し、トロロッソ関係者の口は重いが、その口ぶりからすればキーとの関係を継続する意志はなく、キーとの間に残る契約をタテにマクラーレンから少しでも有利な条件を引き出そうという構えだ。だからこそ、契約違反になりそうな発言は極力控えているというわけだ。

「僕からコメントすることはないよ。状況がまだクリアじゃないし、マクラーレンは今朝になってそう言っているみたいだけど、トロロッソ側はそれを受けて契約があると言っているし、状況はまだはっきりとしていないよね。もちろん、ジェームスはチームのなかで重要な要素だったし、パフォーマンスをもたらす重要な人物だったわけだから、チームの中から"キー"パーソンを失うのは残念だよ」(ピエール・ガスリー)

 一部では、ブレンドン・ハートレイの代役として、一時レッドブル側から問い合わせがあったランド・ノリスの貸し出しを交換条件として挙げていると報じられているが、これらも前述のとおりマクラーレン側からのリークで、ザック・ブラウン代表がマネージメントしているノリスの価値を上げるためのものでしかない。

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