2018.07.17

ドイツの女神はマルケスが大好き。
9年連続ポールトゥウィンの大偉業

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 金曜日のフリー走行を終えた段階で、マルケスは「今回は安定したコンディション下で、皆がいいセットアップを見つけてくるだろうから、レースは厳しい戦いになると思う」と予測していた。さらに、今年の場合は「数戦前にも言ったけど、今のドゥカティはどのコースでも速さを発揮している」という不穏な要素もあった。

 コース全長がシーズン全19戦でもっとも短いため、決勝レースは30周という長丁場で、しかも左コーナーが10に対して右が3という極端な差のあるレイアウトのため、「タイヤが消耗してくるレース中盤以降はどんな戦いになるのか、まったく予想がつかない。勝負はうまい戦略を使えるかどうかにかかっている」。

 これはマルケスに限らず、フリープラクティスや予選で好調な速さを発揮していた上位勢の選手が皆、口を揃えたように話していたことだ。

 それだけに、マルケス有利という状況は動かないとしても、そこにヤマハやドゥカティ勢がどれだけ高い戦闘力を発揮して肉薄してくるのかは、マルケスがポールポジションを獲得した土曜午後でも、まだ不透明な状態だった。

「一年が終わると、ザクセンリンクで誰が勝ったのか憶えている人はほとんどいないけど、この年に誰がチャンピオンを獲ったのかは、皆が憶えている。いつか誰かが自分を破るだろうけど、ランキングでは(バレンティーノ・)ロッシ(モビスター・ヤマハ MotoGP)が2番手で、(マーベリック・)ビニャーレス(モビスター・ヤマハ MotoGP)が3番手なので、それを考えるとチャンピオンシップのほうが大切」

 決勝レースを翌日に控えたマルケスはそんなふうに話し、レースの展開次第では、優勝にこだわるよりもポイント獲得の賢明な戦いを選択する可能性も示唆していた。

 しかし、日曜午後2時に決勝レースが始まると、そんな不安はまったくの杞憂で、マルケスはザクセンリンクでのいつもの強さを発揮した。ちょうどレース中盤の16周目でロッシが2番手に浮上してくると、ペースを上げて少しずつ引き離しにかかった。残り10周を切ったころに2秒程度の差を築いてからは、完全にレースをコントロールするモードへ。そして、冒頭に述べたとおり、9年連続でザクセンリンクでのポールトゥウィンを達成した。