苦難の連続のトロロッソ・ホンダ。解決すべき問題点を責任者に聞く (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「ここは新しいサーキットだから、去年までのデータもなくて直接の比較ができないし、現時点で判断するのは難しいんだ。ストレートの最高速は、どれだけダウンフォースをつけていたか、どれだけ空力効率がいいかによって大きく違ってくるからね。でも(パワーユニットの)アップデートが正しい方向に向かっていることは確かだよ」

 カナダで一定の評価が与えられたスペック2に対して、ふたたびその評価が否定されることはないのか? そう聞くと、ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは、「それはない」と即答した。

「そういう議論にはなっていません。(アップデートの効果は)データ上でわかっていますから」

 そのうえで、チーム内ではセットアップの方向性を見定められないまま予選を迎えてしまい、予選ではひどいアンダーステアに見舞われ、明確な答えが見いだせないままの決勝だった、と明かした。

「金曜日はそんなに悪くなかったんですけど、土曜日ではバラバラ。日曜日も結局、そこを直しきれないままという形でした。(データ上では)コーナーのグリップ限界領域はそんなに悪くないんです。ストレート領域がスピードも相対的に下位ですし、あまりよくなかった。

 じゃあ、そこのバランスを変える、つまりダウンフォースを削れば本当によくなるのか――というようなところまでやりきれず、予選・決勝に突入してしまったんですね。そのあたりのバランスをどう取るかを、今回の結果を参考に宿題を並べ、課題を抽出し、どうすれば全体のパフォーマンスが上がるのかを至急、解析しなければなりません」

 ある意味では、実質初開催のサーキットだからこそ、チームのエンジニアリング能力がそのまま露呈してしまったともいえた。その点、高いシミュレーション能力と潤沢なリソースを持つトップチームのようにはいかない。

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