アロンソも参戦。ル・マン24時間のトヨタは「負けたらヤバイ戦い」 (2ページ目)

  • 川喜田研●取材・文 text by Kawakita Ken photo by TOYOTA Gazoo Racing

 予選では、アロンソが中嶋に「主役」の座を譲った格好だが、「世界最高のドライバー」のひとりと称されるF1世界チャンピオンが、トヨタでは「チームプレーヤー」のひとりとして「純粋にレースを楽しんでいる」姿が実に印象的だ。

悲願の初優勝へ決勝レースは現地時間土曜の午後3時にスタート悲願の初優勝へ決勝レースは現地時間土曜の午後3時にスタート 一方、昨年の予選でコースレコードをマークしたトヨタ7号車の小林可夢偉も、予選3回目の序盤にタイムアタックを行なった。だが、こちらはトラフィックに引っかかるなどでクリアラップを取ることができず、結局、水曜日の予選1回目でマークした3分17秒377がベストタイムで、予選2番手。それでも、予選3位のレベリオン・レーシングとのタイム差は2秒以上ある。

 予選で好タイムが出たが、その結果に浮かれることなく、悲願の初優勝を目指すトヨタの目は、すでに決勝レースへと向けられている。

「もちろんポールポジションを獲得できたのはうれしいですが、ル・マンでの予選の重要度はせいぜい1%ぐらい......。今日の予選でもレースに向けてきっちりと走り込み、必要なデータが取れたことのほうが大きいと思います」(中嶋)

 また、ル・マン初挑戦となるアロンソも、予選3回目の終盤に振り出した雨の中で周回を重ね「夜のウェットコンディションを経験できたことは、有意義だった」と語り、こちらも予選セッションを決勝レースに向けた「最終テスト」と捉えているようだ。

 ちなみに、金曜日は翌日に控える決勝レースに向けた「休息日」。夕方からル・マン市内で恒例のドライバーズ・パレードが行なわれ、サーキットだけでなくル・マンの街全体が伝統の24時間レースに向けて雰囲気を盛り上げていく。

 最大のライバルにして、越えられない「壁」であったポルシェが撤退し、事実上「ひとり横綱」状態で今年のル・マンに臨むトヨタ。だが、優勝候補の筆頭に挙げられながら、苦杯をなめ続けてきた過去2年の結果が示すように、伝統の一戦、ル・マン24時間レース勝利に必要な真髄は「ライバル」ではなく、「自分自身との闘い」になる。

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