こちらのホンダ勢は3連勝。酷暑の
テキサスではゆっくり走るが勝ち!

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 ちなみにパジェノーの後ろ3~9位はホンダ勢。10位のチャーリー・キンボール(カーリン)は1ラップダウンだった。テキサスでの優勝でホンダは今季5勝目。デトロイトの2レースからこれで3連勝となり、シボレーを一歩リードすることとなった。

 実は、ディクソンの独走には理由があった。チップ・ガナッシ・レーシングだけがタイヤの温度管理対策を持っていたのだ。

 4月のタイヤテストでもブリスターが出ていたため、ファイアストンは運営側にタイヤのスクラビング(一度高速で走ってタイヤに熱を入れることで、トレッド表面の剥離が起こりにくくなる)を義務づけることを提案した。そこで運営側は「最低4セットは平均時速190マイルのラップを1周以上走り、少なくともレースの前半はそのタイヤで戦うこと」というルールを設定した。

 しかし、ガナッシ陣営は1周だけでなく、もっと多くの周回数をこなしたタイヤを複数用意してレースに臨んだ。さらに、ディクソンはタイヤが急激に温まることがないよう注意して走っていた。特にレース前半の路面温度が高い時間帯は、ピットアウト直後の数ラップは全開で走らず、タイヤ温度の急激な上昇を避けた。タイヤの使い方に関しては、彼らはファイアストンのエンジニア以上に深い知識を持っていたのだ。

 これでディクソンはキャリア通算43勝目。マイケル・アンドレッティと歴代3位タイに並んだ後、1週間で単独3位になった。マリオ・アンドレッティの52勝、AJ・フォイトの67勝を抜くのは難しいかもしれないが、今後も勝利数を伸ばしていくだろう。

 ディクソンは「マイケル・アンドレッティをはじめとするドライバーたちを深く尊敬している。AJ・フォイトやマリオ・アンドレッティ、アンサー・ファミリーと同じリストにディクソンという名前が並んでいることには、まだ馴染めていない。すばらしい環境で戦えていることに感謝している。私はチームと幸運に恵まれている」と、謙虚に語る。

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