バトン、早くもポイント首位に。レースで抜かれても好成績のわけは? (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 そして5月20日の決勝レース。100号車はバトンがスタートドライバーを務めたが、レース開始直後からポールポジションの8号車に引き離され、14周目の時点では10秒の差がつく展開となる。

 その後、他車のアクシデントでセーフティカーが導入されて、トップとの差は一度リセットとなった。しかし、19周目の再スタート時には3番手のニック・キャシディ(KeePer TOM'S LC500/ナンバー1)に隙を突かれ、2コーナーで追い抜かれてしまう。その後もペースが上がらないバトンは、19周を終えたところでピットインして山本に交代した。

 この展開を一見すると、「前回と同様に決勝でのペースが悪かった」とネガティブに思われがちだ。だが100号車には、スタート直前に起きた「ひとつの誤算」が大きく影響を及ぼしていたのである。

 その誤算とは、鈴鹿サーキットの計時システムが決勝レース直前に不具合を起こし、その復旧作業のためにスタート時刻が40分も遅れてしまったことだ。

 100号車は決勝スタート時のコンディションを見据え、予選の段階でミディアムタイヤを選択していた。ところがスタートが40分遅れたことにより、気温と路面温度が想定よりも下回ることになってしまったのである。これが大きな影響を及ぼし、バトンはスタート直後からタイヤのウォームアップに大苦戦。それに対し、8号車はウォームアップが比較的早いソフトタイヤを選択していたため、1周目から一気に後続を引き離す走りができたのだ。

「僕たちはミディアムタイヤを選んでいて、それに対して8号車はソフトタイヤを選んでいた。そこでの差が大きかった。このコンディションでのミディアムタイヤは苦労したよ。スタートからタイヤがなかなか温まらなかったからね。再スタート時も同じ状況で、今度はニック(・キャシディ)に抜かれてしまった。でも、その問題はナオキ(山本尚貴)のスティントでソフトタイヤに履き替えたことで解決したよ」

 こうバトンが語るように、ピットストップ時にソフトタイヤを装着した山本は遅れを取り戻すべく、怒涛の勢いで追い上げを開始した。25周目には1号車を抜き返し、さらには8号車にも急接近する。しかし、最後の追い上げはついに届かず、100号車は2位でフィニッシュとなった。

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