ホンダ強いぞ、鈴鹿で完勝。亜久里監督のF1時代を超えた驚速タイム (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 野尻はトップのままコースに戻ってペースを上げるも、決して楽な展開とはならなかった。一時3番手に下がった100号車の山本が25周目には2番手へと浮上し、野尻のすぐ背後に急接近してくる。このときのペースは、明らかに山本のほうが上。さらにGT300の集団が途切れることなく目の前に現れ、野尻はその集団をかき分けながらポジションをキープしなければならなかった。

「山本選手は絶対にあきらめないだろうな思っていたので、僕も絶対にあきらめちゃいけないと思いました。開幕戦では僕が順位を落としたので、(あのときは)申し訳ないという気持ちもありましたし、必ず取り返さなきゃいけないという気持ちもありました」(野尻)

 レース終盤、何度か山本に並びかけられそうになるシーンもあったが、野尻は冷静にそれを切り抜けてトップを死守。「次のホンダのエースは俺だ!」と言わんばかりの力強い走りを見せ、今季初優勝を成し遂げた。

 鈴鹿での8号車は、予選では「速さ」、決勝では「強さ」が光っていた。今年は9年ぶりに伊沢がチームに復帰したことも追い風となっているだろう。鈴木監督もふたりのドライバーをこのように評価する。

「伊沢と野尻はドライビングスタイルが似ている。スタイルが違うと、どちらかに合わせなきゃいけないので難しいけど、そういうのが(ふたりには)ないので楽ですね。野尻は少し繊細なところがありますが、それに対して伊沢が『問題なく乗れますよ』と言ってくれる。そこは非常にいいですね」

 この優勝で野尻と伊沢のドライバーズポイントは24ポイントとなり、ランキング4位へと浮上。トップの山本/バトンとは8ポイントの差はあるものの、十分にチャンピオン獲得を狙える位置につけている。この勢いがこのまま継続されれば、11年ぶりのチャンピオン獲得の可能性も高まってきそうだ。

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