ドビ転倒、ル・マン得意のヤマハも届かず。マルケスの独走を許すのか (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 実際に、この週末のドヴィツィオーゾは速かった。

 金曜は午前と午後の2回のフリープラクティス(FP)を終えてトップタイム。土曜午後の予選では5番手タイムで2列目からの決勝スタートとなったが、その予選前に行なうFP4で、ドヴィツィオーゾはまたしてもトップタイムを記録していた。

 金曜の午前午後、そして土曜午前の3回のFPは、その3回の総合順位で予選の組を振り分けるため、どこかのタイミングで皆が一発タイムを狙いにいく。しかし、その予選直前に行なうFP4は予選の振り分けと関係ない、文字どおりフリーな練習走行時間で、翌日の決勝時間に近いこのセッションで選手たちはレースシミュレーションを行なう。すでに何周も走行した中古タイヤでさらに周回を重ね、決勝レース数を想定したラップタイムを確認するわけだ。

 ここでドヴィツィオーゾが安定してぬきんでた速さを発揮していただけに、予選2番手スタートのマルケスは「明日は(フランス出身の)ヨハン(・ザルコ/モンスター・ヤマハ Tech3)とドビが速いと思う」と話し、そのドヴィツィオーゾも5番グリッドながら「明日は地元のザルコが速いだろう。彼はマルクや僕と同じペースで走れるだろうね」と述べることで、婉曲に優勝争いの自信があることを言葉の裏に匂わせた。

 決勝レースでのドヴィツィオーゾは、そのザルコを序盤でオーバーテイクして、さらにトップをうかがおうとした矢先に、5周目の6コーナーでフロントを切れ込ませて転倒した。

 後方からこの転倒を見ていたマルケスは、「彼は普通なら序盤は攻めずに様子を見ながらタイヤを温存し、後半に仕掛けてくるけど、今回は最初からレースを引っ張ろうとしていた。僕が転倒するのは誰かが仕掛けてきたときだから、ドビが転んだのも他のライダー(自分)が攻めてくると思ったからだろう」とレース後に話した。

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