スーパーGT「可夢偉の代役」が驚異の走り。22歳の新星は何者だ? (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

「(ドライバー交代する前は)超プレッシャーでした。事前準備がしっかりできていれば自信を持って臨めましたけど、正直不安しかなかったです。

 しかも、トップ争いという責任重大なところで(自分の出番が)回ってきて......。第2スティント(レース中盤の坪井のパート)で流れが決まると思っていたので、正直『乗りたくない』と思うくらい緊張しました」

 事前に走り込めていないのに、この大役は荷が重すぎるだろう――。現地でレースを観ていた筆者も、思わずネガティブな考えが浮かんだ。ところが、いざマシンに乗り込んだ坪井はそんな思いをあっさりと裏切る快走を見せる。

 トップのままピットアウトすると、タイヤが温まっておらずコントロールが難しい1周目を難なくクリア。この時点で2番手の23号車とは2秒差だったが、坪井は周回を重ねるたびに安定感を増し、後続との差を7秒にまで広げた。

「(後ろとの間隔は)ずっと見ていました。でも、そんなに背後に迫ってくるほどの差ではなかったですし、単独で走っていれば(39号車のほうが)速そうだったので、GT300との混走で(遅いマシンに引っかかって)タイムを落とさないことのほうが大事だと思い、自分のペースを落とさないようにしました」

 坪井の冷静な走りに対し、23号車をドライブしていた松田は驚いたという。

「タイヤのウォームアップやGT300との混走の処理を見ていると、とても新人とは思えない走りで、後ろから追いかけながら感心してしました」

 また、坪井の走りをピットで見守っていたコバライネンも大絶賛した。

「彼はテストでクルマに乗る機会がなくて、ほとんど走り込めなかったんだけど、とにかく強いし、自分の走りに自信を持っている。レース中もまったくミスがなかったし、重要なポイントをちゃんと理解しながら走っていた。

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