直線が遅いぞ、トロロッソ・ホンダ。大至急「エネマネ」をやり直せ! (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「エネルギーマネジメント」という新たな課題も浮上したトロロッソ・ホンダ「エネルギーマネジメント」という新たな課題も浮上したトロロッソ・ホンダ そのため決勝では1周全体にERS(エネルギー回生システム)の120kW(約160馬力)を効かせることはできず、バッテリーからの放出が切れて1.6リッターV6ターボエンジンだけで走る"ディレイト"といわれる状態にならざるを得ない。

 だからこそ、パワーユニットの制御が重要になる。どこでどれだけ発電し、どこでどれだけ使うか。いわゆる"エネルギーマネジメント"と呼ばれるセッティングを、エンジニアたちは極めて複雑で緻密な計算の上で組み上げるのだ。

 そこに問題があった。長いストレートが連続するバクーに来て、初めてホンダのエネルギーマネジメントに綻(ほころ)びが生じた。ガスリーは決勝でのフラストレーションをこう説明する。

「DRSを使えない状況下では、僕らの厳しさが増したんだ。エネルギーマネジメントに苦しんでいるし、ここのレースではそれがとてもクリティカル(致命的)だからね。レース序盤にはウイリアムズやペレス(フォースインディア)にターン20でもう横に並ばれて、ストレートエンドまでにはもう抜かれてしまっていた。

 エネルギーマネジメントをもっとうまくやることができなかったか、どうすればうまくやれたのか、それも見直さなければならないだろう。エネルギーマネジメントに関しては開幕戦からそれほど苦しんではいなかったけど、今週末はこれまでよりも(ライバルとの)差が大きくなってしまった」

 ドライバーとしては、ストレートでバトルをしている際にオーバーテイクボタンを押して仕掛けたり、ディフェンスしたりしたくなるものだ。それが余計にバッテリー消費を速くし、必要な場所での充電もできず、エネルギーマネジメントはさらに狂う。

 絶対に抜けないセクター2を速く走り、1周のラップタイムを速くしても、ストレートでのバトルで戦えなければ意味がない。こうした想定が十分ではなかったのだ。

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