トロロッソ・ホンダの弱点は「風」だった。この課題は解決できるのか (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 バクー・シティ・サーキットはカスピ海沿いを走る約2km、時間にして連続24秒前後という極めて長い全開区間がある。4メーカーのなかでもっとも非力なホンダ製パワーユニットにとっては、これはもちろん厳しい要素だ。

 バーレーンでも上海でもストレートで速度負けしなかったトロロッソ・ホンダだが、ここではやや苦戦を強いられるかもしれない。

「トップスピードでは依然として不利を背負っているよ。これはパワーとドラッグのバランスによるものだけど、メインのライバルたちと比べてストレートは少し遅いんだ。だから2kmのストレートは理想的じゃない」(ガスリー)

「ジェームス・キー(トロロッソ・テクニカルディレクター)の言い方を借りれば、モナコとモンツァがくっついたようなサーキットです。だから、そのバランスですよね。どこでタイムを稼ぐかということを考えながら、ストレートのスピードと低速コーナーでの安定性とのバランスをどう出せるかが重要です。PU(パワーユニット)的にはストレートが長いとICE(エンジン本体)的には厳しくなりますけど、電気の使い方も上手に合わせていくというのが、ここでのキーポイントになると思います」(田辺テクニカルディレクター)

 長いストレートが目立つバクー・シティ・サーキットだが、それ以外は低速の90度コーナーがほとんどで、ストップ&ゴーの特性。これはつまり、バーレーンと似ているとも言える。

 ガスリーは「低速コーナーは僕らの強みのひとつだし、(高速コーナーが少ない分)空力的な影響が小さいサーキットでもある。だから、僕らにとってはいい方向になるかもしれない」とは言うものの、「ただし計算上では、すごくウチのマシンに合っているサーキットというわけではない」と、無用な期待はしまいと自分に言い聞かせるように慎重な姿勢を崩さない。

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