トロロッソ・ホンダに緊急指令「10日間で不安定の原因を解析せよ」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 土曜は強風と突風が吹きつけたため、その影響も疑われた。実際に追い風でダウンフォースを大幅に失っていることはデータ上でも確認されたが、強風は金曜も同じで、そもそもダウンフォース量が多いクルマではないため、風に対する敏感さがライバル車より大きいという理由もあまり見当たらなかった。

 考えられるのは、タイヤに対する熱の入れ方だった。上海のサーキットは長い右コーナーが多く、左タイヤに負荷がかかったり、コース後半に長いストレートが連続していてフロントタイヤが冷えがちだったりと、前後左右の温まりのバランスを取るのが難しい。

 ダウンフォースが少ないことに加え、バーレーンで導入した新しいサスペンションセットアップが影響を及ぼしたのかもしれなかった。テクニカルディレクターのキーは次のように語った。

「問題の根幹は、スタビリティとグリップが不足しているということで、原因としてはサーキットとの相性か、もしくはアウトラップでタイヤに対する負荷が十分にかけられていないということが考えられる。

 我々はロングランのペースがよく、デグラデーション(性能低下)は非常に小さいが、その反面、予選でワーキングレンジ(作動温度領域)に入れるのに苦労する傾向がある。それはダウンフォースが足りないということかもしれないし、メカニカル面のセッティングに起因するものかもしれない」

 キーが語るように、コース特性も原因として考えられる。

 バーレーンは直線を低速コーナーでつないだようなストップ&ゴーのサーキットで、空力性能が問われる高速コーナーが少なかった。しかし上海には、中高速コーナーやターン1~2、ターン7~8、ターン13など長く回り込むコーナーが点在する。

 バーレーンの金曜は旧型仕様、土曜から新型仕様と、同じサーキットで乗り比べて進化を如実に体感したハートレイは、上海でもそれが効果を発揮すると確信していた。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る