佐藤琢磨、テストであんなに速かったのに...。次戦こそ巻き返せるか (4ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 ピエトロ・フィッティパルディ(デイル・コイン・レーシング)のアクシデントで全員がピットストップを行なった後のセカンド・スティント。琢磨とグレアムはともにストレッチ(ピットインを延ばす)し、イエローが出たら大きなアドバンテージが得られる展開を期待した。その時点まででピットしている面々を周回遅れにすることができる可能性があったからだ。しかし、そうした展開にならなかっただけでなく、グリップの落ちたタイヤでのラップが増えたことで逆に順位を落としてしまった。

「あれはちょっと欲張りすぎた。順位を守るという意味で、スコット・ディクソンや他のドライバーたちのように早め早めにピットストップを行なうという戦い方もあった。ディクソンたちより僕らは前を走っていたのだから、彼らと似たようなストラテジー(戦略)にしていれば、ディクソンのところ(4位)まではいけなくても6~8番手ぐらいではゴールできていたのかなと思う」(琢磨)

 さらに、最後のイエローでピットインするという決断も、結果論だが裏目に出た。

「最後のイエローでピットするか否かの判断は難しかったと思う。ピットからのピットインの指示を受けたときには、"入るんだ"と思った。入らないチームの方が圧倒的に多いと思ったから。リスタートからゴールまでは残り10周以下になることがわかっていたし、僕は着けているタイヤで最後までいけるんじゃないかと思っていた」(琢磨)

 そこでもしピットに向かわなかったら、4番手に浮上していたことになる。

「"たられば"は言ってもしょうがないけど、今回はピットストップも遅かった。チームメイトに2回抜かれたのは腹立たしい。今回は作戦もダメ、ピットストップもダメ、車もダメ......」と、琢磨は下を向いた。

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