佐藤琢磨、テストであんなに速かったのに...。次戦こそ巻き返せるか (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 そんな荒れたレースのなか、琢磨は思っていたよりも安定したマシンで辛抱強くレースを戦った。

「序盤からハンドリングはそんなに悪くなかった。バランスは取れていた。でも、全体的にグリップはなかった。狭い1本のラインでのレースは、前を行くマシンに近づいて走ることが難しかった。前のクルマに近づくと、ダウンフォースが減ってそれ以上、近づけない。追いついて終わり、追いついて終わり......という展開になった」(琢磨)

 タイヤを傷めずに走れば、ラップを重ねたところでライバルに対するアドバンテージを手にできる。そこでバトルが生まれる......という期待はさほど叶えられなかった。

「グリップが落ちてからのバトルは、あるにはあったけれど、少なかった。今のインディカーは出場全チームのレベルが高く、ハンドリングの悪くなる車はなかった。また、タイヤのグリップがなくなって走りが苦しくなると、速度が落ちてダウンフォースが減って、前の車へ近づけなくなった。マシン同士がさらに離れてしまう状況だった」(琢磨)

 アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)やシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は、そういうなかでも多くのパスを実現していた。そんなマシンを作り上げるのは不可能ではないということだが、そのレベルに今回の琢磨、そしてRLLは達していなかった。

「暑いコンディションにもしっかりとマシンを合わせているチームはあったのだから、言い訳はできない」と、琢磨は言う。

 琢磨陣営が採った作戦も成績向上に貢献しなかった。

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