「マルケス大騒動」でレース混乱。ホンダGP750勝目はクラッチロー (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • photo by TAKEUCHI PHOTO OFFICE

 オープニングラップはミラーがリードするが、2周目にはマルケスが追い上げてきてミラーをオーバーテイク。一気に後続を引き離し始めるマルケスに対し、しかし、レースディレクションはライドスルーペナルティ(※)を通告。理由は、エンジンストールで混乱したスタート時に再度グリッドへ戻った際、エンジンのかかったバイクに乗った状態でコースを「逆走」したことに対するものだ。

※ライドスルーペナルティ=レース中にピットレーンを低速通過することで結果的に順位を下げさせる罰則。

 これにより、マルケスは19番手まで大きく順位を落としてしまう。そこから猛追を開始し、かなりアグレッシブなオーバーテイクで前の選手を次々と抜き去りながら6番手までポジションを回復するが、その過程で何名もの選手に対して接触や押しのけが発生。バレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ MotoGP)とも接触し、アウト側に流されたロッシはコース外の芝生でマシンを滑らせて転倒してしまう。結果的に、マルケスは再度ペナルティを科され、ポイント圏外の18位という結果に終わった。

 しかし、クラッチローはこれらの混乱にも巻き込まれることなく、終始上位グループで走行。ミラーやヨハン・ザルコ(モンスター・ヤマハ Tech3)、アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)の後ろで虎視眈々と機をうかがい、レースが終盤に差し掛かるころ、一気呵成に勝負をかけた。

「燃料がフルタンクのときはブレーキングでかなり挙動が大きかった。タイヤを温存しながら、前の選手たちとある程度の距離を保っていた。誰かが前で転倒したときに巻き込まれたくなかったから、ラインも少し変えて走っていたんだ。最後は引き離せると思っていたし、ここなら抜けそうだという場所もわかっていた」と、クラッチローは狙い澄ました勝負展開を振り返った。

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