ホンダ、ショック! 開幕戦5位の
マクラーレンは本当に速くなったのか

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 26周の間ずっとフェルスタッペンを抑え込むことができたように、今年の僕らはディフェンスもできるし、アタックもできる。これは、ここ数年できなかったことだ。だから去年までとは違った気分だし、今年はもっと楽しめるはずだよ。今日もナイスなファイトだったけど、できれば次は前を向いてレースをしたいね」

 そうは言うものの、この結果は幸運を掴み取ったからこそのものであり、実際の順位としては9位でしかなかったことは冒頭に述べたように、アロンソ自身もわかっている。レッドブルとの車体性能差もよくわかっているだろう。

「同じパワーユニットを積めば、自分たちもレッドブルのように表彰台争いができる」
「レッドブルと車体性能を直接比較されることは望むところだ」

 昨年からマクラーレンの首脳陣たちは、そう豪語してきた。

 しかし、オーストラリアGPの予選Q2で、マクラーレンはレッドブルに約1.3秒もの差をつけられた。それも、レッドブルは0.6~0.7秒遅いスーパーソフトを履いてのタイムだ。

 両者のタイム差は実質2.098%にも及んだ。昨年の最終戦アブダビGPの予選では1.079%。同じパワーユニットを積んだことで、その差は広がってしまった。決勝でも、フェラーリのキミ・ライコネンに抑え込まれたダニエル・リカルドにさえ、レース後半だけで20秒も引き離されてしまった。

 最高速も伸びず依然として最下位で、昨年から指摘されていたダウンフォースをつけなければ速く走れない設計思想のクルマという特性は変わっていない。それでもドラッグを削ったフロントウイングのフラップ(昨年アゼルバイジャンGPから投入したもの)を選び、ルノーやレッドブルとの車速差は数km/hまで縮めてきていた。

 いずれにしても、予選ではルノー製パワーユニットを搭載する3チームのなかで一番下であり、車体性能でもっとも劣っていることが厳然と突きつけられてしまった。映像を見ても、飛び跳ねるマシンを押さえつけてねじ伏せるアロンソの"神ドライブ"だからこそQ3に肉薄できたのであって、昨年後半戦にはアロンソを上回る走りも見せたバンドーンが常にアロンソに小さくない差をつけられて後塵を拝している事実を見れば、マシンとしての仕上がりはまだまだだと言うべきだろう。

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