F1ホンダ、無残なレースに。「信頼性が最優先」とは何だったのか? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 後方グリッドからのスタートとなってしまった決勝では、アグレッシブな戦略で逆転を狙った。だが、これもまたミスと不運とトラブルによって、結果に結びつかなかった。

「スタート直後のターン1へのアプローチでラインを変えたら、路面のキャンバー(角度変化)を乗り越えるかたちになってしまって、そこで激しくブレーキをロックさせてしまったんだ。すぐにロックを解除させることができなくて大きなフラットスポットを作ってしまい、とても走り続けられるような状態じゃなかった」

 タイヤを壊してしまったハートレイは1周目にピットインしてソフトタイヤに交換し、最後まで走り切る作戦に切り替えた。チームとしては早い段階でのピットストップも想定しており、挽回は十分に可能で綻(ほころ)びもまだ小さかった。

 しかし、走り始めてしばらくすると、縁石にぶつけてしまったのか、ハートレイは左リアのフロアにダメージを負い、ダウンフォースを大きく失ってしまう。その壊れたパーツがタイヤに接触し、徐々にエア漏れを起こしていた。

 これで、最後まで走り切って他車のピットストップの間に逆転するという戦略は、あっけなく崩れ去ってしまった。

「かなりのダウンフォースを失っていたし、タイヤを最後まで保(も)たせるためにかなり抑えて走っていたから、今日のペースから実力を判断することはできない。でも、ウルトラソフトをあれだけ保たせることができたのを考えると、タイヤマネージメントは悪くなかった。特に最後の5周は、まだあれだけグリップが残っていたことに驚いたくらいだよ」(ハートレイ)

 開幕前に懸念していたタイヤマネージメントだが、ハートレイは23周目に履き替えてから全車中最多の34周も保たせた。リアのダウンフォースが抜け、金曜フリー走行とは大幅にマシンバランスが異なるドライビングの難しいマシンで、それをやってみせた。タイヤマネージメントの問題は解決できたようだ。

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