佐藤琢磨は追突され後退も、インディカー開幕戦はホンダ勢が上位独占 (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 残り2周でのリスタート。ウィッケンズはメイン・ストレートへのダッシュが一瞬遅れ、ターン1のインにロッシが飛び込んできた。ウィッケンズはアウト側のラインでトップを守ろうとしたが、ロッシが接触してきてアウト側の壁にクラッシュ、リタイアを余儀なくされた。

 ロッシに隙を見せたのはウィッケンズのミスだったが、その背景には、最後のリスタートで、突然、特別なルールが採用された不可解なレース運営があった。リスタート1周前に消されるはずのペースカー天井のランプは消されず、リスタートでは禁止されているプッシュ・トゥ・パス(ステアリングについているボタンを押すことで、一時的にターボのブースト圧を引き上げる)の使用が許可されたのだ。

 ルーキーのウィッケンズは複数のイレギュラーに対応できず、万全の準備でリスタートの瞬間を迎えることができなかった。

「優勝できなくてガッカリしている。ルーキーとして迎えたシーズン最初のレースだったので、あそこで彼を相手にハードに戦わなかったというのも事実だ。必要以上のスペースを相手に与えたのは、もし2位でのフィニッシュになっても十分に満足だったからだ。

 しかし、あのリスタートでレースコントロールはいったい何をしていたのか。それまでのリスタートとまったく違う手順になっていたから、僕はレースリーダーに与えられるペースをコントロールする機会をもらえなかった。どうしてそんな事態となったのか、ちゃんとした説明を聞きたい」

 レース後、ウィッケンズはそう語り、さらにこのように続けた。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る