速いぞ、トロロッソ・ホンダ。もう最高速はマクラーレンを上回った! (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 これだけの周回数を走り込むことができたもうひとつの理由は、STR13の車体側の信頼性も高かったからだ。テストの途中、フロアにクラックが入って補修を行なう場面もあったが、これは縁石にヒットした際に生じたもので、細かな不具合はあってもパワーユニット同様にマイナーな初期トラブルに過ぎない。それ以外はテスト前のシェイクダウンからずっとノートラブルで、極めてスムーズな走行を続けた。

 昨年までのトロロッソは、決してトラブルの少ないチームではなかった。だが今年、これだけ高い信頼性を確立した状態で開幕前テストに臨むことができたのは、ホンダのワークスチームとしてパワーユニット側と密に連携をとったマシン開発を進めてこられたからだと、テクニカルディレクターのジェームス・キーは語る。

「設計面、ギアボックスのダイナモやR&Dテストリグのオペレーション、車体とパワーユニット間のコントロールシステム構築など、さまざまな面で我々が今までに経験したことのないサポートを受けることができた。11月には車体とパワーユニットの制御システムの作業が始まり、12月にはパワーユニットとギアボックスをつないで日本とミルトンキーンズでダイナモテストや冷却システムのテストも始まった。

 そういったことは、これまでカスタマーチームの立場ではできなかったことだ。これまでになく、しっかりと準備を整えた形で開幕前テストを迎えられたのは、その点が大きい。実際のところ、初ファイヤーアップ(新車のエンジン初始動)も予定より1日前倒しで迎えることができたしね」

 もちろん、初回テストが連日気温ひとケタ台という寒さに襲われたために、暑いコンディションでの冷却系のテストはまだできていない。最終日は15度近い気温で走行できたものの、車体とパワーユニットに強い負荷がかかる状況はこれからだ。それだけに、まだ信頼性が完璧と安心しているわけではないが、基本設計の部分に問題がなかったことは極めてポジティブな要素だろう。

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