インディカー開幕直前、佐藤琢磨の
チャンピオンはハッキリ見えている

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 それをまさに狙っているのが、昨年のインディ500ウィナー、佐藤琢磨を迎え入れたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングだ。エンジニアリング部門の強化に努めてきた彼らは、琢磨とグレアム・レイホールのコンビを擁し、一気にチャンピオンシップ・コンテンダーとして確固たる地位を築こうと目論んでいる。

 琢磨にはインディ500連覇の期待もかかるが、彼自身としては2018年のシリーズチャンピオンの座も視野に入れているだろう。それだけの力をレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングも琢磨も持ち合わせている。

 もちろん、その夢を実現させるためには、昨年度チャンピオンのジョセフ・ニューガーデン、一昨年のチャンピオンのシモン・パジェノーらを起用するチーム・ペンスキーや、4回のタイトル獲得実績を持つチップ・ガナッシ・レーシング・チームズのスコット・ディクソンらを打ち倒さなければならないが......。

 一方、参戦自動車メーカーのホンダとシボレーは、純粋なエンジンのパワーアップ競争を再開することになる。まずは耐久性の確保が課題だが、少しでも大きなパワー、幅広い回転レンジでドライビングがしやすいキャラクター、そしてよりよい燃費を求めて開発競争は続く。実は空力についても両メーカーは研究を継続しており、ユーザーチームがパフォーマンスアップできるよう有用なデータを供給するように努めている。

 2018年もインディカーシリーズの年間レース数は17戦で変わらない。F1アメリカGPを1980年まで開催していたワトキンスグレンはカレンダーから落ちるが、西海岸のオレゴン州ポートランドがシリーズに再加入してくる。今年もインディカーはストリート、ショート・オーバル、スーパー・スピードウェイ、常設ロードコースと、使用コースはバラエティ豊かだ。海外イベントはカナダ・トロントでの1戦のみとなっている。

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