室屋義秀、エアレース開幕戦2位を「戦略通り」と言える2連覇プラン (2ページ目)
そんな戦略を可能にしているのが、レース前の準備における「ルーティーンの確立」だと室屋は言う。
「昨季からの同じルーティーンを続け、それで結果が出ているので、多少の変化はあるにしても、基本的には同じペースでやっていけばいいと思う」
もちろん、「レースの1週間前くらいから、一度筋肉に負荷をかけてリカバリーし、レースデイは軽く筋肉に負荷をかけてやると、筋肉の反応がいいとか、そういうことは続けている」と話すように、室屋がアスリートとして勝負を前にしたルーティーンを続けているのは当然のことである。
だが、レース前のルーティーンとは、必ずしもパイロットだけの話ではない。むしろ今の室屋の強さを支えているより大きな要素は、チームとしての準備におけるルーティーンの確立である。室屋が語る。
「ベン(チーム・ファルケンのタクティシャン、ベンジャミン・フリーラブ)がチーム全体の作業リストを作り、レース会場に入った日から、この日にはこれをやって、この日に機体をレディにして、公式練習からレースに入っていく、ということを昨季からずっとやっている」
室屋を支えるチーム・ファルケンのスタッフたち 気象条件の変化や故障によるトラブルなど、常に変化する状況に対応しなければならないエアレースにおいて、「やりたいこと、やっておいたほうがいいことを挙げれば、果てしなくある」と室屋。当然、チームスタッフもレースが近づけばナーバスになる。やりたいこと、やっておいたほうがいいことの優先順位が整理されていないと、「ハンガー全体がバタバタして落ち着かなくなってしまう」。室屋が続ける。
「作業ごとのプライオリティを考え、(優先度の低いものは)無理してやらないというくらいに、時間にちょっと余裕を持たせてプランを立てる。そうすると、みんながレースデイに落ち着いて動ける。やりたいことはあまりにたくさんあるので、どこかで線を引かないと、みんなが慌ててしまうから。
それでグチャグチャになっていたのが2年前のシーズン。昨季からシステムを変え、ルーティーンを確立したことが今はうまくいっている。常に一定のペースを保っていかないと、1、2戦は頑張れても8戦はもたない。そこをうまくコントロールすることが、長いシーズンを戦うコツのような気がする」
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