4年ぶりの日本人、中上貴晶。MotoGPテストで自分のレベルを確認 (2ページ目)

  • 西村章●取材・文・撮影 text & photo by Nishimura Akira

 そして、この3日間のテストを終えて、自信を大きく取り戻しつつあるように見えたのが、ドゥカティ・チームのホルヘ・ロレンソだ。

 昨年はチームメイトのアンドレア・ドヴィツィオーゾがマルケスを相手に最終戦までチャンピオン争いを繰り広げ、おおいにシーズンを盛り上げた。一方、ロレンソはヤマハファクトリーチームから移籍してきた初年度で、何度か表彰台には登壇したものの、一年を通じてマシンの理解やライディングスタイルの順応などに費やすシーズンだった。

 今年は初日の走り出しから3番手タイムと好調な滑り出しで、2日目にはドゥカティ勢全ライダーの最上位を記録。この日トップタイムのビニャーレスから0.143秒差という充実したセッションになった。

 2日目の走りを終えたロレンソに、「ドゥカティ最速タイムを記録し、本来の力強さを発揮し始めたのでは?」と訊ねてみた。

 するとロレンソは、ニヤリ、と笑みを見せて、「僕は誰よりも速く走りたいんだよ。MotoGPでもっとも速いライダーでありたいんだ」と、落ち着いた口調で述べた。

「僕は今まで5回の世界チャンピオンになって、MotoGPでも3回タイトルを獲っている。目標はもう一度チャンピオンになることなので、ドゥカティ最速だからといって満足できるわけじゃない。昨日も今日も、ラップタイムにはあまりこだわらなかったんだ。明日は一発タイムを狙いにいくチャンスもあると思う。

 でも、明日最速だからといっても、それでいいわけじゃない。重要なのは、あくまでもシーズン開幕後にいつも安定して速さを発揮することだから。その意味では、ここまではいい調子でテストを進めているかな」

 その言葉どおり、テスト最終日にはサーキット非公式ベストタイム(マルク・マルケス/1分58秒867/2015年)を上回る1分58秒830のトップタイムを記録し、3日間のテストを締めくくった。

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