ホンダを捨てたマクラーレンは勝てるのか。今季F1トピック10連発 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 その一方でマクラーレンは、ウイングを立てて空気抵抗に目をつむってでもダウンフォースをつけて走ろう、というマシン哲学だ。空気抵抗を蹴散らすほどのパワーがあれば圧倒的な強さを発揮できるが、ホンダからルノーにスイッチしたところで、そこまでのゲインが得られるわけではない。

 加えて、ホンダ製パワーユニットのコンパクトさによって受けていた恩恵も手放すことになる。ホンダRA617Hはユニット後方が極めてコンパクトで、車体のリア周りを細く、低く絞り込むことができた。これによって得ていた空力面のゲインは小さくない。

 また、総重量としてはそれほど差がないものの、ラジエーターなど補器類まで含めたRA617Hの重心位置はかなり低く、運動性能面への目に見えない貢献も小さくなかった。

 ピットストップ作業の速さに目を向けても、2017年の全20戦でマクラーレンがトップ5に入ったことは一度もない。レース戦略面でも弱体化は目立っており、優勝を争う勝負勘のようなものはそう簡単に取り戻せるものではない。

 もちろん、ホンダ製パワーユニットを搭載していた2017年よりも上位で戦えることは間違いないだろうが、2017年のレッドブルでさえ上位勢が潰れたレースを拾うのがやっとであったことを考えると、マクラーレンが優勝するのは容易ではない。勝つためにはパワーユニットの変更だけでなく、マクラーレン自身が大きく前に進まなければならないだろう。

(中編に続く)

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