初音ミクの「痛車」チームが
スーパーGTで3度王者の強豪になるまで

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

「苦戦しましたね。マシンを変えたことによってよくなるかなと思ったんですけど。データ不足やタイヤのマッチングなども含めて、車両を変えたことによってシンプルに苦戦したなという感じでした」(片岡)

「メルセデスに変更したタイミングがちょっと悪かった部分もあります。2016年には新型のAMG GT3を導入し、開幕戦こそよかったのですが、それ以降は性能調整を受けて直線のスピードが伸びなくなって苦しみました」(谷口)

 そんな試行錯誤を繰り返しながら、対策を練って挑んだ2017シーズン。その努力はついに報われる。開幕戦の岡山で3年ぶりに優勝。その後も安定したレース運びを見せ、最終的には8戦中4回も表彰台を獲得する活躍で3度目のシリーズチャンピオンに輝いた。

 だが、チームを率いる片山監督は、決してライバルに対して優位性を感じたシーズンではなかったと語る。

「チャンピオン獲得は3度目でしたが、正直2017年が一番厳しかったです。以前と比べるとGT300のレースレベルが非常に上がっていて、海外自動車メーカーの力の入れ方も、ものすごく高くなりました。さらにタイヤ戦争や性能調整もあったので、勝っているところと負けているところ――運のいい悪いがハッキリしていました」

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