初音ミクの「痛車」チームがスーパーGTで3度王者の強豪になるまで (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 この移籍について、谷口は当時をこう振り返る。

「僕はチャンピオンを獲りたい人間なので、正直それまでのグッドスマイルレーシングにはあまり魅力を感じていませんでした。だから2011シーズンに向けてオファーを受けたとき、(当時監督の)大橋逸夫さんにメンテナンスガレージやチーム体制について、いろいろとリクエストを出しました。その結果、うまくシリーズを戦うことができたんです」

 番場琢とコンビを組んだ谷口は第3戦・セパンでチームに初優勝をもたらすと、第6戦・富士と最終戦・もてぎでも優勝してシリーズチャンピオンを獲得。谷口にとっても、スーパーGTで初の年間王者に輝いた。

「(2011年は)僕がGTに参戦して10年目で、初めてのチャンピオンでした。これまで何度もチャンスはありましたが、不運もあって悔しい思いばかりだったので、2011年は感慨深いシーズンでした」

 チャンピオンを獲得したことにより、グッドスマイルレーシングへのイメージは一気に変わり、注目度も格段に大きくなった。2012年にはGT500クラスでの参戦経験もある片岡龍也が加入するが、そのときの印象は「痛車」というよりも「トップチーム」というイメージのほうが強かったという。

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