日本人F1ドライバーは見えたか。ホンダが育成する3人の今季と来季 (8ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

 ふたたびモノコックを交換して上り調子になった矢先、今度は他車と接触し、その拍子に右手首を骨折。「あぁ、もう終わった!」と思ったという牧野だが、気持ちを入れ換えてリハビリに励み、結局は1ラウンド欠場だけでレース復帰を果たした。手首には今もその傷跡が残っている。

「医者からは『まだ全然ダメだ』って言われましたけど、クルマのセッティングを(欠場の間に見直して)変えていたのもあったので、リザルトどうこうよりも、とにかく確認のためにも走りたかったんです」

 マシンのセッティングを見直す――。口で言うのは簡単だが、それをやることは容易でないし、チームにそれを認めさせるのも容易ではなかった。しかし、牧野はそれをやってのけた。

「ユーロF3は1チームで4台走っているので、ハイテックGP(イギリス)の場合はそのうちの1台がベースセットアップを作るような形になっていて、シーズン前半戦はそのセットアップに合わないというのが結構あったんです。そのドライバーのドライビングスタイルがまったく違っていたので、チームともいろいろ話をして、セットアップを違う方向でやらせてくれと。

 最初はチームのほうも、僕がどのくらい走れるのかっていうことにそれほど信頼できない状態のままやっていましたけど、それが信頼してもらえるようになり、右肩上がりでよくなっていけた。それをシーズンの最初からできていれば、もっと違った結果になったと思いますけどね」

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