エンジン側の努力は完全スルー。アロンソがホンダを褒める日は来るか (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスは70km/hを下回るような低速コーナーが多く、モナコやシンガポールと同じくらいツイスティなセクションを走る時間が長いので、全開率は40%台と低い。そのため、エンジンパワーがラップタイムに与える影響は小さく、1周が短いこともあって10kWあたりせいぜい0.12~0.13秒程度にしかならない。

 実はここ数戦はFIAの取り締まりが強化され、各メーカーともオイル燃焼を駆使した「予選モード」の使用を自粛している。ホンダとルノーのパワー差は20kW、メルセデスAMGとでも40kW程度と見られ、パワー不足で失っているタイム差を計算しても、マクラーレンが「ベストな車体」とは言えない。

 ホンダはターボの回転が上げられず、標高2200mのメキシコシティで薄い空気が引き起こすパワーロスを、ライバルメーカーのようにターボ過給を上げて補うことが難しかった。そのため絶望的な苦戦を覚悟していたが、日本のHRD Sakuraでギリギリまで攻めたICE(内燃機関エンジン)の燃焼セッティングやMGU-H(※)の使用配分などを工夫することで、そのロスを大幅に抑えることができた。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

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