ドゥカティ背水の勝利。マルケス×ドヴィツィオーゾの決着は最終戦へ

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 今回も、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)とマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が戦いの主役を演じた。だが、雨のセパン・サーキットで彼らが繰り広げた戦いは、今シーズン何度も見られた真っ向勝負の接近戦ではなく、やや離れた距離を保ちながら、したたかな計算とプレッシャーと意地が交錯してちりちりと神経が灼(や)けていくような、そんな緊張感の張り詰めた戦いになった。

ドヴィツィオーゾ(中央)が執念を見せて今季6勝目をマークドヴィツィオーゾ(中央)が執念を見せて今季6勝目をマーク まずは、第17戦・マレーシアGPを前にしたドヴィツィオーゾとマルケスのチャンピオン獲得を巡る条件を整理しておこう。

 第16戦を終えた段階で、ポイントリーダーのマルケスと2位ドヴィツィオーゾの差は33点。マレーシアGP終了時に26点差が開いていれば、マルケスの年間総合優勝が決まる。

 優勝者には25ポイント、2位は20点、以下の順位は16点、13点と加算されるので、マルケスは優勝もしくは2位でゴールすれば、ドヴィツィオーゾのリザルトに関わりなく自力でチャンピオンを確定できる。マルケスが3位や4位でフィニッシュしたとしても、ドヴィツィオーゾは優勝する以外に最終戦へ希望をつなぐことができない。

 要するに、ドヴィツィオーゾはなにがなんでも優勝しなければいけない、という状況に追い込まれていたわけだ。

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