ターボをブン回してもパワー出ず。F1ホンダは高地メキシコで大苦戦 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「レイアウト的には低速セクションが重要になる。こうしたセクションで速く走ることのできるセットアップに仕上げることが重要なんだ」(トム・マクロウ/フォースインディア・チーフレースエンジニア)

 マクラーレン・ホンダは今週末のメキシコGPでの苦戦を予想し、すでに2台ともに新品パワーユニットを投入してここでペナルティを消化して、残り2戦に万全の態勢で勝負を挑むことを選んだ。それはなぜか?

 ひとつには、前述のとおり空力効率が問われる環境ゆえに、常にウイングを立てダウンフォースをつけなければ好走できないマクラーレンの車体は不利だということがある。加えてMCL32はもともと冷却性能が厳しく、空力性能を犠牲にして大きなエアアウトレットを開け、より多くの冷却風を取り込まざるを得ない。

 そしてもうひとつは、ホンダのパワー不足だ。

 空気が20%薄いため、自然吸気エンジンならばそのまま20%パワーが落ちる。だが、現在のF1で使用されているターボエンジンならば、ターボでより多くの空気を圧縮してエンジンの燃焼室に取り込めば、理論上は平地と同じパワーが出せる。そのためにどのメーカーもターボのタービンの回転数を上げ、ルノーの場合でいえば約8%も高く回すという。

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