エアレース王者・室屋義秀、今季は優勝連発も「来年はイチロー流で」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 そのことは、室屋が今季開幕前に残したコメントを引けばよくわかる。すでに記したように、室屋は今季の目標が年間総合優勝であることを公言すると同時に、そのための条件についても次のように語っていた。

「年間総合優勝のためには、(全8戦のうち)6戦くらいはファナル4に残る必要がある。1位にこだわる必要はないが、6戦くらいでコンスタントに表彰台に上がり、そのうち1、2勝することが必要になると思う」

 だが、実際の室屋はどうだったか。

 勝利数こそ4勝と望外の結果を残したものの、表彰台、ファイナル4の数では当初の見通しを下回った。

 それだけではない。室屋は全8戦のうち2戦で0ポイント(11位以下)に終わっている。今季チャンピオンシップポイントランキング上位6人のなかで、0ポイントのレースが2戦もあるのは室屋だけだ。

 確かに、今季の結末は劇的だった。最終戦のファイナル4、しかも最後のひとりが飛び終わるまで覇権の行方がわからないという展開は、あまりにドラマティックで、これ以上ないほどの盛り上がりを生み出した。

 しかし、よくよく考えてみれば、ひとりのパイロットが全レースの半分で優勝しながら、最後の最後まで優勝争いがもつれたこと自体、ちょっと不思議な状況である。今季の室屋が、いかに"出入りの激しい"フライトをしていたかの証明だ。

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