超絶レベルの快挙。室屋義秀が「エアレース年間王者」に至る成長曲線 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 ところが、そんな室屋に異変を感じたのは、予選のフライトを終えた後のことだった。

「エンジンがどうも......、まだ原因はわかっていないんですけど、馬力が出ていなくて」

 そう語る室屋からは明らかな苛立ちがうかがえ、発する言葉は短く、怒気さえはらんでいた。

 室屋は予選2本のフライトでいずれもペナルティを犯し、まさかの2桁順位(11位)に沈んでいた。エンジンの不調が原因なのか。それとも、それによって自身のフライトが乱れていることが原因なのか。室屋が何に苛立っているのかはわからなかったが、その様子は"悪いときの室屋"だった。

 誤解を恐れず言えば、室屋が年間総合優勝できるかどうかは、それほど大きな問題ではなかった。だが、このままではせっかく年間3勝を挙げ、大きなステップアップのシーズンとなった2017年を不完全燃焼で終わらせてしまいかねない。そんな不安を強く感じてしまうほど、室屋は苛立っていた。

 しかし、結果は今さら言うまでもなく、最終戦を制した室屋がチャンピオンシップポイントでもトップのソンカを逆転し、年間総合優勝を果たした。

 ラウンド・オブ・14ではソンカとの直接対決を制し、ファイナル4では2位以下に2秒以上の大差をつける驚愕の(室屋によれば、シミュレーションの計算上でもありえない)トラックレコードを叩き出しての圧勝だった。

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