超絶レベルの快挙。室屋義秀が「エアレース年間王者」に至る成長曲線 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 決戦の地に足を踏み入れてもなお、室屋いつも通り穏やかだった。

「どっちにしたって過去最高成績(年間総合4位以上)になることは決まっているわけだから。今年勝つもよし、勝たぬもよしと思えばそんなに入れ込むこともないですね」

 それほど自身の置かれた状況を達観できるのには、「ラウジッツ(第7戦)に比べれば気持ちは楽」だという想いがあるからだった。

「そのときは知らなかったけど、実は(マルティン・)ソンカの年間総合優勝が決まってしまう可能性もあったレースに、自分もここで一発勝負という感じで、優勝を絶対条件にして臨んだ。かなりいろいろな戦略を張り巡らせて、かなりリスキーな戦いを切り抜けられましたが......、だから、この前のレースは疲れましたね。表彰式のときには、もう膝に手を置きたいくらいで、あんなに疲れたレースは今までにありませんでした」

 それを思えば、「今回はいつものレースよりもだいぶ早く入ってトレーニングとテストを重ねてきたので、万全と言ってもいい。やれるだけの準備はしてきから、あとは飛ぶだけでしょ、って感じ」だった。

 自力ではどうにもできない年間総合優勝の可否はともかく、このときの室屋には、間違いなく"勝てそうな雰囲気"があったのだ。

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