衝撃の最終ラップ。ドヴィツィオーゾとマルケスが演じた至福の2分間 (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 だが、前をいくマルケスも、バトルの度胸と巧さでは誰にも引けを取らない。そのような水準で戦う彼らにとって、ごくわずかにも見える0.465秒の距離は実はかなり大きな差である、ということがドヴィツィオーゾの言葉からはよくうかがえる。

 そのマルケスが8コーナー(S字)でミスをした。これで2台の差が一気に縮まった。

「11コーナー(90度)で勝負できることはわかっていたので、10コーナー(ヘアピン)はマルクの背後できっちりと立ち上がった」

 狙いどおりに、ドヴィツィオーゾは次のブレーキ勝負で前に出た。だが、チェッカーフラッグまでには、左から右へと切り返すふたつのコーナーがある。

 オーバーテイクされたマルケスは、「ドヴィはブレーキングポイントが強いので、11コーナーで仕掛けられた。離れてしまったけど、『やってみよう』と思って最終セクションで勝負した。で、オーストリア(第11戦)のときと同じような状況になった」と振り返る。

「来ると思っていた」とドヴィツィオーゾ。

「左コーナー(最終ひとつ手前)で少しワイド気味に入っていったのは正解だった。インを閉めたので、攻めてきたマルクは(最後のビクトリーコーナーでの)切り返しがあまり速くなかった」

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