灼熱、豪雨、脱水...アロンソ、ペレスらが惜しむ最後のマレーシアGP (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「去年のマレーシアGPは、僕が今まで経験したなかでもっとも暑くてタフなレースだった。今年もかなり汗をかくことになりそうだよ」(ペレス)

 マレーシアでのレースは、軽めのサウナで運動するようなものだという。コクピット内の温度は常に50度近くで、心拍数は平均170。約90分間のレースで3リットルの水分を失い、4リットルのドリンクを摂取しても消費カロリーは1500kcalにも及ぶ。

「マレーシアでレースをするのは、ちょっと弱めのサウナに入っているようなものだよ。僕らはレーシングスーツや耐火ウェアを着て、ヘルメットを被り、なおかつシート自体も熱いし、電気ボックスに囲まれていてクルマのなかも暑い。本当に暑いよ。脱水症状にならないようにすることが重要だ。たくさんの水と電解質を含んだスポーツドリンクを飲み、汗として失う水分を補給しなければならない。それができなければ、痙攣(けいれん)に見舞われたり、ひどい場合だと視界が失われたりするんだ」

 そう語るバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)は、第14戦・シンガポールGPではマシン搭載のドリンクボタンがまったく機能せず、水分を摂取できない状態で2時間のレースを走るうちに脱水症状に見舞われて意識が朦朧(もうろう)とし、最後は視界もぼやけていたという。それでも特別な処置は必要なく、レース後に2時間ほど安静にしているだけで身体は回復したというから、2017年型マシンに備えてより一層のトレーニングを積んだF1ドライバーたちの体力には恐れ入る。

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