38歳ロッシは超人か。右脚骨折から
3週間での激走をライバルも絶賛

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 土曜午前はタイム次第で、午後の予選の上位と下位の組を振り分ける重要なセッションだが、ロッシは10番手タイムを記録して上位の組へ進出を果たした。15分のタイムアタックでグリッド順を決定するその予選では、終盤に一時トップタイムを記録し、あわやポールポジションかという状況にもなった。その後、チームメイトのマーベリック・ビニャーレスとホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ・チーム)がロッシのタイムを上回ったものの、最終的には3番手でフロントローを獲得した。

 このグリッド位置にはロッシ自身も「自分でも驚いた」と話し、翌日の決勝レースは「アラゴンは通常のコンディションでもキツいのに、この体調ではさらに厳しいと思うけれどもがんばりたい」とレースに向けた抱負を語った。「明日の決勝は、リアタイヤの選択(ソフト、ミディアム、ハードの、どのコンパウンドをチョイスするかということ)が重要になる。フロントローのスタートなのでいいレースをしたい」と話す口ぶりからは、彼の目標はすでに負傷を考慮した完走などではなく、トップ争いを想定しているようにも見えた。

 アラゴンGPの決勝は23周で争われる。総レース距離は116.771km。右脚骨折から24日目のロッシは1周目からトップグループでバトルを繰り広げ、レース中盤も表彰台圏内を争い続けた。終盤には少しタイムを落としたものの、最後はチームメイトのビニャーレスから0.6秒差の5位でチェッカーフラッグを受けた。

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