ホンダが味わう疎外感。
マクラーレンと最後まで、うまくやっていけるか

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 それがF1界のしきたりとは言え、シーズンを最後まで戦おうとしているなかでは、やや寂しくもある。それでも、現場のエンジニアたちは最善を尽くそうとしている。決裂が決まったからと言っても、わざと遅く走ったり開発を遅らせたりはしない。

 長谷川総責任者は言う。

「提携解消が決まったことで、まったく影響がないと言えば嘘になります。でも、エリック(・ブリエ/レーシングディレクター)やアンドレア(・ステラ/アロンソ担当レースエンジニア)たちと話をして意思を共有しているのは、現場ではパフォーマンスのベストを引き出すために全力を尽くそうということです。あくまで成績がベストになるように戦わなければなりませんし、来年のために何かを温存するといったようなことはあり得ません。ランキング5位から8位までは接戦ですから、そこもまだあきらめたわけではありません。今年の成績なしに来年はないですから」

 だからこそ、シンガポールGPではしっかりとポイントを獲っておきたかった。

 しかし、決勝の15分前になって降り出した雨が強くなり、路面は完全なウエットに。波乱のレースは必至だった。

「ここはオーバーテイクが難しいから、1周目が終わった時点から順位はそれほど変わりはしないだろう。だからスタートに集中して、あとはミスを犯さず、そのポジションを守ることに集中するだけだよ」

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