飛び交う噂の真相は?
ホンダとマクラーレンが決別したホントの理由

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 車体の開発が進んだシーズン中盤の時点では、車体単体で見ればハンガロリンク(第11戦)でトップから0.6秒差、スパ・フランコルシャン(第12戦)でも0.5秒差と、3強チームとはまだ差はあるものの中団グループ勢を上回るだけの車体性能は有しており、ランキング9位に低迷するような車体ではないというマクラーレン側やアロンソの気持ちもわからないではない。だが、その論調はあまりにエキセントリック過ぎた。

 ロン・デニスが昨年末に突如チームから追い出され、今年に入って保有していた25%の株式も手放すこととなった。チームはサウジアラビアの大富豪マンスール・オジェとバーレーン政府系ファンドのマムタラカトによって支配され、彼らによって指揮官に抜擢されたアメリカ人ビジネスマンのザック・ブラウンと彼の配下たちによって、マクラーレンはもうデニス時代とは別の組織へと変貌してしまった。

 過去のイメージを一新したいという思いと、ホンダ憎しの感情論で、新生マクラーレンはホンダとの決別へ邁進(まいしん)していった。

 7月中旬の第10戦・イギリスGP決勝後、シルバーストンのパドックで両陣営の首脳陣が出席して行なわれたステアリングコミッティー(運営委員会)は、2時間半の予定が1時間ほどで早々に散会となった。マクラーレン側が法外とも言える条件をホンダに突きつけ、話し合いにならなかったからだ。8月1日~2日のブダペスト合同テストにルノー製パワーユニットを搭載したテスト車両が持ち込まれるのではないかという噂さえ流れたほど、この時点でもうマクラーレンはホンダとの決別と、ルノーへの移行の意思を固めていた。

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