エアレース室屋義秀、最強ライバルを叩くチャンスも返り討ちで無念! (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 後にデータ解析によって分かったところによれば、室屋の機体はスタート直前、不自然な加速を記録していた。それは操縦によるものとは考えにくく、おそらく風の影響を受けた可能性が高い。不運の一言で片づけるには、あまりに痛いスピード超過だった。

 直接対決で室屋を蹴落として勢いに乗ったソンカは、そのままファイナル4も勝ち抜き、今季2度目の優勝。2位にはマクロード、3位にはマット・ホール(オーストラリア)が入り、チャンブリスも前2戦に続く3連勝こそ逃したものの、確実に4位を確保していた。

 この結果、室屋はチャンピオンシップポイントランキングで4位に転落。4人の年間総合優勝争いからひとり後れを取る形となり、トップの座に返り咲いたソンカからは10ポイントの差をつけられた。表情を曇らせ、室屋が訥々(とつとつ)と言葉を発する。

「ラウンド・オブ・8でソンカが相手だったので、チャンピオンシップを考えるうえでは、もちろん(実際に起きた結果とは)反対の展開を想定していた。ここを勝ち上がれば(ソンカを振り落とせる)、という気持ちはあったので......、この結果はやはり大きい」

 もちろん、室屋の年間総合優勝の可能性はまだ残っている。獲得できるポイントは、ひとつのレースで優勝すれば15ポイント、残り2戦を連勝すれば30ポイント。逆転不可能な差ではない。

 だが、仮に室屋が2連勝したとしても、ソンカが残り2戦で2位に入ってしまえば、もはや追いつくことはできない。シーズン終盤に来て、いよいよ厳しい立場に立たされた。残念だが、その事実は認めざるをえない。

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