エアレース室屋義秀、最強ライバルを叩くチャンスも返り討ちで無念! (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 室屋にとってラウンド・オブ・8で難敵と対戦することは、ファイナル4へ勝ち上がれるかどうかの際どい勝負を強いられる一方で、ここでソンカを叩けば、ライバルをラウンド・オブ・8敗退(すなわち、5位以下)に追い込むことができる。

 勝利すれば優勝争いに生き残り、敗れれば優勝戦線から大きく後退する。天王山とも言うべき対決は、現在の戦局を大きく転換する可能性を秘めていた。

 果たして結果は、室屋の1分8秒414に対し、ソンカは1分7秒991。僅差の勝負を制したのは、ソンカだった。

 勝敗を分けたのは、室屋が犯したスタートスピード超過のペナルティである(通常は200ノットに制限されているが、今回は高速コースのため、180ノットに定められていた)。これによって加算された、ペナルティタイムの1秒が勝負を決めた。

 レッドブル・エアレース参戦6年目にして、室屋がスタートスピード超過のペナルティを受けるのは初めてのことだ。これまでに一度も起きなかったことが、この重要なフライトで起きてしまうのだから、神様は気まぐれだ。あらためて勝負の怖さを思い知らされる。

 6位に終わった無念のレースを振り返り、室屋が語る。

「ラウンド・オブ・14のタイムで、ソンカは(自分よりも)コンマ何秒か前にいた。だから、スタートも含めて勝負をかけなければいけないかな、と。チャンピオンシップのことはあまり考えないようにしたが、その他(のセクション)にはほとんどマージンがないので、100分の1秒でも、1000分の1秒でも(スタートで縮めておきたい)という気持ちが焦りとなって出てしまったのかもしれない。もちろん、自分ではそんなつもりはなかったし、そういう気持ちを感じてもいなかったけれど......、結果的に、そういうメンタルの部分が反省すべき点として出てしまったのかな」

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