心が折れたか。アロンソの「故意リタイア疑惑」でホンダとの関係は? (7ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 アロンソの3年間にわたる苛立ちはよくわかるが、このチームで走ることを選んだのは他ならぬ彼自身であり、40億円とも言われる超高額のサラリーを受け取っているからには、最後まで自分の仕事を完遂する責務がある。どんなに期待外れだろうと、遅かろうと、走るのが彼の仕事だ。

 メルセデスAMGやフェラーリのドライバーたちは、ことあるごとに「チームのために走る」「僕はチームの一員でしかない」と口にする。それは、マシンを1000分の1秒でも速く走らせるために、開発に、セットアップに、ドライビングにと大勢の人間が努力し、自分ひとりでは成し得ない高度な走りを完成させていることを深く理解しているからだ。

 チームがドライバーのためにマシンを用意し、ドライバーが「絶対的存在の主役」であるというのは過去の話であって、あらゆる要素が超一流でなければ勝てない今のF1においては、チームの声に耳を傾け、彼らとともに努力できないドライバーは頂点に立つことなどできない。ドライバーにものを言えず、言いなりになることしかできないチームもまた、頂点に立つことなどできない。それをよく知っているからこそ、トップチームはアロンソのレーシングドライバーとしての能力を高く買いながらも、彼を獲得しようとは決してしない。

 マクラーレン・ホンダの来季体制とフェルナンド・アロンソの去就を巡ってストーブリーグの風が吹き始めるなか、ベルギーGPは思わぬかたちでマクラーレン・ホンダが抱える問題を浮き彫りにしたと言わなければならないだろう。

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