今季F1前半戦「ホンダの残念な予想」はどれだけ当たってしまったか (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 FIA F2に参戦する松下信治は、スーパーライセンス取得の可能性を残している。所属するARTグランプリはエンジニアの流出により、バンドーンを王座に導いたときのような速さと強さがない。実質的に3~4番手のチームになってしまっているため、今季は苦戦を強いられている。

 だが、前半戦の最後にはエンジニアとのデータ分析などを通して調子は上向いており、ハンガリーラウンドのレース2で優勝。8月にはザウバーで初めてのF1テストを経験して視野も広がり、ライセンス取得基準のランキング3位まで32ポイント差を逆転すべく、後半戦に向けてモチベーションを高めている。

 ヨーロッパ初挑戦の牧野任祐は順応に苦労し、シーズン途中で手首骨折のケガを負ってしまったため、スーパーライセンス取得は厳しい状況に追い込まれた。しかし、2年目のGP3を戦う福住仁嶺は常に優勝争いを繰り広げ、メルセデスAMG育成のジョージ・ラッセル(イギリス/19歳)、ルノー育成のジャック・エイトキン(イギリス/21歳)らと今季のタイトル争いをしている。ただし、GP3ではタイトルを獲得してもスーパーライセンス取得の条件を満たすことができないのが残念だ。

 つまり今年、「F1への最後の一歩」を踏み出すことができる可能性を残しているのは松下のみ。その松下とて、スーパーライセンスを取得できたとしても2018年のレースシートを獲得することはかなり難しい。

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