今シーズンの「F1大変革」は本当に起きたのか。開幕前の仮説を検証 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

(4)固まっていた「3強」の勢力図がガラッと塗り替えられる?【答え:△】

 2014年の現行パワーユニット導入時から続いてきたメルセデスAMGの独走は崩れた。そういう意味では、2017年のF1改革によって勢力図は変わったと言える。新レギュレーションに対してもっとも優れた車体を作り上げたのはフェラーリであり、シーズン前半戦も車体性能ではメルセデスAMGを上回り続けた。

 逆にメルセデスAMGは新しいタイヤの扱いに苦労し、上下20度ほどの適正作動温度領域に入れられれば速いが、そこから外れると速さを発揮できないというレースが何度もあった。車体の開発方針にしても、放っておいてもダウンフォースが増大する2017年レギュレーションに対し、最大ダウンフォース値を追求するよりも空力効率を追求する方向に振ったが、その背景にはフェラーリがここまで優れた車体を作ってくるとは予想していなかったことがある。

 技術責任者ジェームズ・アリソンの離脱が決まっていたフェラーリは大方の予想をいい意味で裏切ってすばらしい車体を作り上げた一方で、同じく技術責任者パディ・ロウの残留が年末まではっきりせず最終的には離脱してしまったメルセデスAMGは車体開発が万全とは言えなかった。ある意味では、フェラーリを甘く見ていたメルセデスAMGがしっぺ返しを喰らった形だ。

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