今シーズンの「F1大変革」は本当に起きたのか。開幕前の仮説を検証 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「追い抜きに必要な速さの差は、ラップタイムにして1.5秒~2秒くらいになったと思う。コース上での追い抜きはかなり難しい」(ルイス・ハミルトン/メルセデスAMG)

 しかし、攻められるマシンとタイヤゆえに、レースが面白くなっていることは間違いない。大荒れになったアゼルバイジャンGPなどがその最たるもので、それ以外のレースでもフリー走行からスピンやクラッシュが増え、決勝でも激しいバトルが増えた。ドライバーの腕の善し悪しがよりはっきりと見えるようになったという点では、間違いなくいい方向に変わったと言えるだろう。

(3)大きく変貌するルックスは1990年代のF1を彷彿とさせる!【答え:○】

 明らかに今年のF1はカッコよくなった。これに見慣れた今となっては、昨年までの映像を見ると横幅が狭く寸(すん)詰まりで、迫力がないように見えてしまうくらいだ。ワイドな車幅とタイヤは十分に迫力がある。

 Tウイングやシャークフィンなどといった空力デバイスに対して不満の声も聞かれるが、個人的には決してそうは思わない。F1には無駄なものなど存在せず、どんなデバイスにも意味がある。1000分の1秒でも速く走ることができるから、そこに装着されているわけだ。

 速さを追求するために技術者たちの知恵と努力が詰まった結晶なのだと思い、その存在意義を考えれば、見え方も違ってくるのではないだろうか。

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