真夏のインディ怪奇現象。ホンダ最速の佐藤琢磨がポールから謎の失速 (2ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 フロントローからのローリングスタートできっちりとトップを守ってターン1へと進入したが、ターン2の先で2列目から得意の大外周りで勢いをつけてきたトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)にトップを奪われた。リードラップを1周も記録することなく、ここから琢磨はジリジリとポジションを落としていく。マシンのハンドリングが悪く、アクセルを踏んでいけなかったのだ。

 1回目のピットストップを迎えるまでに、なんと17番手まで後退。給油とタイヤ交換、さらにはウィングのセッティング変更をして次のスティントでの挽回を目指すが、マシンのハンドリングはピットストップでのセッティング変更を重ねても向上幅が小さかった。

「フロントウィングは6ターンも回して立てた。リヤウィングにも大きな変更を行なった。それでもアンダーステアがなかなか消えていかなかった」と琢磨は首を傾げていた。予選までのことを考えれば、そこまでマシンが悪いはずはないからだ。

 琢磨の大苦戦とは対照的に、アンドレッティ・オートスポートのチームメイトたちはトップを争っていた。予選6位だったアレクサンダー・ロッシはスタートからゴールまでトップ争いの中心的存在だったし、予選でのアクシデントで最後列の21番グリッドからスタートしたライアン・ハンター-レイはレースの折り返し点である109周目にトップにまで上りつめた。マルコ・アンドレッティもピットタイミングを上位勢とずらした作戦が当たったからとはいえ、レース終盤に一時的にだがトップを走った。

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