ザウバー初テストでF1の味を知った松下信治。日本人復活への第一歩 (6ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

 松下信治がスーパーライセンスを取得するためには、今シーズンのFIA F2選手権でランキング3位以内に入る必要がある。今季2勝で現在6位の松下は、ランキング3位まで32点差の位置につけている。残り4ラウンド8戦でこの差をひっくり返さなければならない。

 F1シートの獲得にはそれだけでなく、政治力や資金力も必要になってくるが、まずはスーパーライセンスを取得することが大前提だ。逆に言えば、ライセンスを持つドライバーは決して多くはなく、それを取得してしまえばリザーブドライバーのポジションも含め、何らかのチャンスが巡ってくることも十分に考えられる。

 この初めてのF1ドライブを、最初で最後にするつもりはないと松下は語る。

「自分のF1キャリアの始まりであってほしいと思うし、これを始まりにしてやろうとも思っています。キャリアにはメリハリが大事だと思うし、いいキッカケになると思います。片足を乗せてちょっと試し、ちょっと舐めて『あぁ、こういう味か』って確認したみたいな。そこで改めて壁は高いなっていうのも感じたけど、そうすることで目指す場所が高くなって、自分自身もより大きく成長できると思いますね。とにかく今はこの経験を生かして、F2のシーズン後半戦で全力を尽くしたいと思っています」

 F1のすごさと楽しさを知ってしまったからこそ、余計に手に入れたくなった。新しい玩具に目を輝かせる松下がこれからどんな走りを見せてくれるのか、楽しみだ。

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