ザウバー初テストでF1の味を知った松下信治。日本人復活への第一歩 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

「そうですね、それは間違いないです。やっぱり頂点のクルマに乗ったわけですから。まぁ、頂点のなかの最下位のクルマですけど(苦笑)。亜久里さんに『F1に乗ったらビックリするよ。すべてがちゃんとしてて乗りやすくて』って言われてたんですけど、本当にそのとおりでした。でもたしかに、攻めだすとマシンバランスはよくないんですよね、簡単にフラついたり。フェラーリの車載映像を見たら、ザウバーのクルマじゃあんなの絶対無理だと思いましたもん(苦笑)」

 F1に乗ったことで広がった視野でF2マシンに戻れば、新たな走りができそうだともいう。F1の速さを知ったことで、今までとは異なる走り方のアイデアも生まれ、それを試してみたいと松下は言う。

「今F2に乗ったら(安定していなくて)走りにくいクルマだなぁって思うでしょうね。でも、こうやって新しい次元のクルマに乗ってみて、レーシングドライバーとして学べたことは多かったし、世界が広がりました。F2でも今までやったことがないようなドライビングができそうだし、すごくいい経験ができたと思います」

 日本人としては2014年の小林可夢偉以来のF1ドライブ。そしてそれ以降、日本人F1ドライバーの存在は途切れたままになっている。

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