遺恨なきバトル。ドヴィツィオーゾとマルケスの語り継がれる名勝負 (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 去年は加速性に勝るドゥカティが圧倒的な優位を築いて勝利したが、今年はマルケスがポールポジションを獲得し、ドヴィツィオーゾは2番グリッド。この段階ですでに、ふたりが歴史的バトルを繰り広げる舞台はできあがっていた。

 先頭グループでふたりは何度かトップの位置を入れ替えながら、やがてドヴィツィオーゾが前でレースは終盤へ向かっていった。前半区間で強烈な加速を見せるドヴィツィオーゾに対し、マルケスは6−7と続く左コーナーで一気に差を詰め、コントロールラインへ戻ってきて登りでふたたびわずかに差が開く、という展開が続いた。最終ラップに入ったときのドヴィツィオーゾとマルケスのタイム差は0.094秒。

「今日の最終ラップではチャンピオンシップのことは忘れて、100パーセントで攻めた」と、マルケスはレース後にこの戦いを振り返っている。

「最後は限界だったけれども、最終ラップで攻めなければ夜に寝つけないと思ったんだ(笑)」

 ドヴィツィオーゾは前半区間でごくわずかながらマルケスを引き離し、5コーナーを立ち上がったときにはマルケスとの距離を0.363秒に広げた。逆に6−7とふたつの左コーナーを立ち上がったとき、マルケスはドヴィツィオーゾとの差を0.054秒に詰めた。

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