ホンダが富士で逆襲。鈴木亜久里が見捨てなかったドライバーの恩返し (4ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 今シーズンも第4戦・SUGOでポールポジションを獲得しながら、自らのミスでスピンを喫して優勝争いから脱落。さらにスーパーフォーミュラでも第3戦を終えていまだノーポイントと、周囲からネガティブな評価が聞こえてくることもあったという。

 ただ、そんな状況下に置かれながらも、野尻は自身の信条でもある「最速」にこだわった。

「僕は誰よりも速く走って、ただ後ろを引き離して優勝したいという思いで毎回レースをやっています。それができないのは、僕の速さが足りていないだけ。そう思って前回のSUGOの後、気持ちを切り替えて(第5戦・富士に)臨みました」

 見てろよ。絶対に己の速さだけで勝ってやる――。

 この強い気持ちが、2戦連続ポールポジションという結果となり、決勝でもライバルを置き去りにする速さで10秒以上の差をつけるアドバンテージにつながった。

 最後はバトンを渡された小林がレースを締めくくり、ARTA NSX-GTがトップでチェッカーを受ける。それをピットウォールで出迎えた野尻は、これまでの苦労やつらかった思いが込み上げてきたという。

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