ホンダが富士で逆襲。鈴木亜久里が見捨てなかったドライバーの恩返し (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 そんななかで迎えた今シーズンは「ARTA設立20周年」という節目の年。GT500クラスのドライバーは、このプロジェクトで育ち、国内トップカテゴリーで活躍するようになった野尻智紀/小林崇志のふたりに託した。

 開幕戦・岡山では目まぐるしく変わる天気を味方につけてポールポジションを獲得するも、決勝は電気系部品のトラブルで早々にリタイア。第4戦・SUGOでも今季2度目のポールポジションを手にするが、決勝は5位でフィニッシュ。ともに予選の優位を生かすことができず、悔しい結果に終わっていた。

 それでも彼らはあきらめることなく挑み続け、第5戦・富士でまたも予選トップの座を奪取する。そして決勝では終盤、ライバルに背後まで迫られたものの、最後は再び後続を引き離して本来の速さを発揮。見事、GT500クラスで実に4年ぶりとなる優勝を飾った。

 さらにGT300クラスでも、ARTAの55号車がポールポジションからレースをリードし、2016年の第5戦・富士以来となる勝利。スーパーGT史上初となる「同一チームによる両クラスでのポール・トゥ・ウィン」という快挙を達成し、レース直後のパルクフェルメでは亜久里監督が満面の笑みでドライバーたちを迎え入れた。

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