あのクビサがF1に帰ってきた。6年ぶりドライブで現役復帰は見えたか (7ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

 だけど、僕のアプローチはとてもシンプルだった。何事も不可能なことはない。4ヵ月前と今を比べれば、隔世の感があるよ。そのくらい、ものすごいスピードで物事が動いていったんだ。この3ヵ月で僕自身はものすごく大きく進歩したし、(F1復帰に向けて)大きく前進したと思う。未来には何が起きてもおかしくないと思う」

 それでも、スポーツだけでなく政治や金など、さまざまな要素が絡み合って物事が決まるのがF1の世界だ。テストとレースでは、求められるものも負荷のレベルも違う。レースとなれば、単独で走るだけでなくバトルもある。

 だからF1復帰が簡単に実現できるとは思っていないともクビサは語る。厳しい現実と向き合い、それを乗り越えてきたからこその達観。クビサは誰よりも"現実"というものをよく知っている。

「僕の目標は、可能ならばF1で何らかの役割を担うことだ。でも、それが実現しなかったとしても、僕はガッカリしたりはしない。この3ヵ月でいろんなことが起きて大きく前進してきたけど、ここから先に進むためにはさらに多くのものが必要になるし、目標としている場所まではこれまでに進んできた道のり以上にものすごく遠いんだ。とにかく今はこの瞬間をエンジョイしているし、このチャンスをくれたルノーにはとても感謝しているよ」

 それでも、鳴り止まないクビサコールが今でも耳の奥でこだまする。きっとそれはルノー陣営にも届いているはずだ。

■モータースポーツ 記事一覧>>

7 / 7

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る